「ランチを食べようと思ったら、皿の上からそこにあるはずの料理がなくなっている」──。米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボで副所長を務める石井裕教授は、テクノロジーがもたらしてきたパラダイムシフトをこのように表現する。少し目を離している間に、価値観も方法論も大きく変わってしまうというわけだ。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ副所長の石井裕教授
米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ副所長の石井裕教授
(写真:米マサチューセッツ工科大学)
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 石井教授が「不連続変革時代」とも位置付ける現代。パラダイムシフトに絶え間なくさらされる企業や人間は、いかなる姿勢が求められるのか。石井教授は、「自らのレゾンデートル(存在意義)を考え抜くこと」だとみる。レゾンデートルがぶれなければ、様々な変革にもすぐにキャッチアップできるからだ。

 2023年9月27~28日に東京国際フォーラムで開催する「日経クロステックNEXT 東京 2023」のオープニングを飾る基調講演に石井教授が登壇し、激動の時代を生き抜くために必要な「ビジョン」、そしてそれを実現する「造山力」をテーマに語り尽くす。多くのビジネスパーソンにとって、今後のキャリアを再考するための貴重な視点を得られるはずだ。

変革のX:DXの先に続く地殻変動を生き抜くためのビジョン力と造山力 メタバース狂騒・人工知能台頭・地球環境破壊、そして人類太陽系外惑星移住の未来
2023/09/27 (水) 10:00 ~ 11:00

 破壊的変化は突然起こるのではなく、必ず予兆を伴う。2010年代に始まったDXのハイプの原点は、1995 年にMIT メディアラボの創設者である ニコラス・ネグロポンテ教授が発表した著書「Being Digital」にある。メタバース狂騒に続く人工知能のハイプ、そして地球環境破壊問題。この不連続的な地殻変動の時代を生きるためには、確固たる「ビジョン」(未来視力)とそれを実現する「造山力」が求められている。