電気自動車(EV)で採用されてきた直流800Vによる給電が、AI(人工知能)データセンターに今後広がる。AIサーバーに搭載するGPU(画像処理半導体)の消費電力増加とともに、AIデータセンターの電力増大が社会課題になっているからだ。従来に比べて高い電圧で給電することでAIデータセンターの電力効率を高める。
GPUを手掛ける米NVIDIA(エヌビディア)を中心に、半導体メーカーや電力システムの関連企業などが関わり、仕様の検討が進んでいる。1ラック当たりの消費電力がいずれ1MW(メガワット)を超えるとされるAIサーバーの電力効率を高めるのが狙いだ。従来に比べて電圧を上げることで、同じ電力を得るのに小さい電流で済む。その分、電力損失の低減につながる。
AIデータセンターに先駆けて直流の高電圧化を進めたのが、自動車産業である。従来のEVは400V級の給電システムが主流だったものの、急速充電性能の向上や銅線使用量の削減、駆動モーターや冷却機構の小型化を狙い、800V対応の給電システムが登場した。中国のEVメーカーでは1000V以上に移行する動きも出てきている。
2026/09/29 (火) 13:00 ~ 15:40
急成長を遂げるAIデータセンター、電気自動車を中心に拡大する自動車の電動化、再生可能エネルギー導入拡大に適した電力グリッドなど、次世代を担う3分野において、800V以上の高電圧直流を用いるシステムの導入が活発化している。業界動向を横断的に紹介するとともに、AIデータセンターや自動車向けに加速する技術開発について探る。
再生可能エネルギー分野でも高電圧化が進む。大規模な太陽光発電所では1000~1500Vの配電システムが標準となっている。付随して大規模な蓄電池システムも1000~1500V級へ移行している。
こうした直流給電の高電圧化を商機と捉えているのがパワー半導体メーカーである。中でも、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった、従来のシリコン(Si)に比べて低損失な次世代のパワー半導体の需要が増えると期待を寄せる。これまでパワー半導体市場をけん引してきたのは自動車だった。今後は、AIデータセンターが新たな市場として急成長しそうだ。
2026年9月29~30日に東京国際フォーラムで開催する「日経クロステックNEXT 東京 2026」では、「HVDCパビリオンセミナー」を実施。日経BP 総合研究所 上席研究員の狩集浩志が800V以上の高電圧直流を用いるシステムの業界動向を横断的に紹介するとともに、AIデータセンターや自動車向けに加速する技術開発について講演する。



















