優れた最高技術責任者(CTO)はどのような方針で研究開発を進めているのか。その一端がうかがえるイベントをテクノロジー専門メディア「日経クロステック」(日経BP)が開催する。2023年8月に発表した「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2023」の受賞者や審査員などを招いて表彰式・記念講演・ネットワーキング(名刺交換会)を同年9月28日に実施する。
受賞者は、大賞1人と特別賞2人である。大賞の受賞者は、ソニーグループ(ソニーG)執行役 専務 最高技術責任者(CTO)の北野宏明氏だ。明確なビジョンを掲げて研究開発を推進しつつ、社内外で連携して事業創出にも貢献していることが受賞の理由だ。中でも、最先端のAI(人工知能)技術の研究開発と事業創出に力を注ぐ。加えて、AI分野を中心に社外の知名度が高く、国際学会で自ら講演するなどソニーG全体の研究開発に関する情報を積極的に発信することで、協業先の開拓や人材の獲得につなげている点も評価された。
北野氏はソニーGのCTO着任後、「我々の文明を進化させ、この惑星を持続可能にする研究開発を行う」という研究開発のミッションを掲げた。技術者であっても、どういう世界をつくりたいのかというビジョンを持ちつつ、サステナブル、かつスケーラブルな事業を実現するには何が必要かということを念頭に置くべきだという同氏の考えに基づく。例えば、文明の一部であるエンターテインメントをしっかりと支えて、クリエイターによる新しい表現を可能にし、できるだけ多くの人に感動を届けるような技術開発に力を注ぐ。
特別賞はNTTの川添氏と三菱ケミカルGのマイクスナー氏
特別賞では、NTTの川添雄彦氏(副社長 兼 副社長執行役員 技術戦略担当CTO CIO CDO)と三菱ケミカルグループ(G)のラリー・マイクスナー氏(執行役 シニアバイスプレジデント CTO)を選定した。
NTTの川添氏は、将来の技術ビジョンを明確にしつつ、その達成に向けた実行力や実績などが評価された。同社は、光技術による省エネ化と大容量通信を実現する「IOWN(アイオン)」構想を推進している。同氏はIOWNの実現に向けた技術開発を強力にリードする。
NTTは当初、IOWN構想の普及時期を2030年としていた。発表時は、低遅延と広帯域、低消費電力をセットで提供する方針だったが、新型コロナウイルス禍によってインターネットによるデータ通信量が増大し、新たな情報通信基盤への需要が急速に高まった。そこで、「できるところから提供するべきだ」との方針に転換。特に低遅延は帯域の品質を保証するためにいち早く出すべきだと考え、2023年3月に低遅延なネットワーク「APN IOWN1.0」として商用提供を始めた。
三菱ケミカルGのラリー・マイクスナー氏は、多彩な経験を武器にグローバルでのイノベーションや企業文化の変革を進めていることが特別賞の受賞につながった。米国や日本、大企業からベンチャーまでさまざまな環境で働いた経験を持ち、グローバルの人脈を生かして人材獲得やCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の運用を優位に進めた。
CTOとして2018年に米国シリコンバレーにCVCを設立。グローバルのネットワークを活用し、日本や北米、欧州のスタートアップに出資している。外国人研究者の採用を強化するなど、グローバルでのイノベーション体制の構築も進める。
2023年9月のイベントでは、CTOオブ・ザ・イヤーの受賞者による記念講演の他、審査員も招いたネットワーキング(名刺交換会)も実施する予定だ。審査員は福島国際研究教育機構理事の江村克己氏とスマートワークス代表取締役の酒井美里氏、早稲田大学ビジネススクール准教授の牧兼充氏、東京大学大学院工学系研究科教授の松尾豊氏である。
江村氏はNECで中央研究所長やCTOを務めてきた人物である。酒井氏は、大手メーカーでの勤務経験を基に、材料・素子分野からITに及ぶ技術知識を生かした特許分析を行う専門家だ。牧氏は、技術経営やイノベーション&アントレプレナーシップ、科学技術政策などを専門にする。松尾氏はAI分野の著名な研究者で、日本ディープラーニング協会理事長でもある。
なお、2023年9月27日から28日に東京国際フォーラム(東京・千代田)で開催するイベント「日経クロステックNEXT 東京 2023」では、日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2023や「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2023」の受賞者、並びに審査員などを招いて、表彰式・記念講演・ネットワーキング(名刺交換会)を実施する。
2023/09/28 (木) 16:15 ~ 17:30
「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2023」の受賞者が決まった。大賞はソニーグループ・北野宏明氏、特別賞はNTTの川添雄彦氏と三菱ケミカルグループのラリー・マイクスナー氏が選ばれた。受賞者の表彰と記念講演を実施する。




















