デジタル変革(DX)を含むIT戦略は、今や経営戦略や事業戦略と表裏一体。DXは経営戦略や事業戦略の根幹を担うものだ――。「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2023」で大賞を受賞した荏原製作所の小和瀬浩之執行役情報通信統括部長兼CIO(最高情報責任者)は、企業においてITが担う役割をそう認識する。そして小和瀬氏自らも、花王やLIXIL、資生堂、そして荏原といった複数の事業会社において、「プロCIO」としてIT戦略を立案・実践してきた。
実際、荏原がグローバルで推進している独SAPのERP(統合基幹業務システム)「S/4HANA」の導入プロジェクトでは、各部門の責任者から成るステアリングコミッティーに浅見正男社長も毎月出席し、意思決定に直接関与。メタバースで開催した新卒学生の内定式も、約100人の内定者だけでなく浅見社長ら役員も参加し交流するなど、ITが経営と不可分の存在として位置づけられていることがうかがえる。
このようにIT戦略を経営戦略・事業戦略と一体で考えるのは荏原だけではない。
CIO/CDOオブ・ザ・イヤーで特別賞を受賞したベイシアの亀山博史役員待遇デジタル推進本部本部長兼商の工業化推進本部副本部長も、ポイントプログラムやクーポン、電子チラシ、キャンペーンなどの機能を備えるスマートフォンアプリ「ベイシアアプリ」を、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上につなげる戦略的なサービスと位置づけて開発・改良に注力。
外部のITベンダーに開発を頼らずとも素早い施策を講じられるよう、2020年からITエンジニアの中途採用を強化。現在はデータ分析やスマホ用アプリなどの分野で完全に内製できる状態を実現するなど、人事戦略にも踏み込んで中長期的な青写真を描き、実行に移してきた。
同じくCIO/CDOオブ・ザ・イヤーで特別賞を受賞した旭化成の久世和資専務執行役員デジタルトランスフォーメーション統括は、自社の事業ポートフォリオが化学品などのマテリアルやヘルスケア、住宅など幅広い半面、既存の事業の枠を超える新しいアイデアが生まれにくいと判断。IT部門とデジタル推進組織を一体化した。さらに各事業部門とデジタル共創本部が対等な立場でDXに向けて議論する場も設けた。
そうして事業部門や事業領域の枠を超えた事業モデルの変革を進めてきた結果、研究開発ではAI(人工知能)などの手法を応用して材料開発の効率を高めるマテリアルズ・インフォマティクス(MI)、生産関連では建物や設備、製品、人などを仮想空間に再現するデジタルツインの導入など、デジタルでこれまでにない成果を次々と生み出している。
東京国際フォーラムで開催する「日経クロステックNEXT 東京 2023」では、初日の2023年9月27日に「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2023」の表彰式・記念講演・ネットワーキング(名刺交換会)を実施する。小和瀬氏・亀山氏・久世氏はそれぞれ、自社の経営戦略とその中におけるIT戦略についてどう考え、実行してきたのか。3人のプロCIO/CDOの証言を直接聞き、学べる貴重な機会だ。
2023/09/27 (水) 16:15 ~ 17:30
「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2023」の受賞者が決まった。大賞は荏原製作所・小和瀬浩之氏、特別賞はベイシア・亀山博史氏と旭化成・久世和資氏が選ばれた。受賞者の表彰と記念講演を実施する。

















