2024年の受賞者発表、日経クロステックが選ぶCIO/CDO&CTOオブ・ザ・イヤー

 テクノロジー専門メディア「日経クロステック」(日経BP)は、「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2024」、「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2024」の受賞者を決定した。受賞者は、それぞれ大賞1人、特別賞2人。2024年10月10日~11日に東京国際フォーラム(東京・千代田)で開催するイベント「日経クロステックNEXT 東京 2024」で記念講演・ネットワーキング(名刺交換会)・表彰式を実施する。

 CIO/CDOオブ・ザ・イヤー大賞は、DX(デジタルトランスフォーメーション)への強力なリーダーシップや全社員へのデジタル人材育成で成果を上げた双日の荒川朋美氏が受賞した。特別賞は、事業部門とIT(情報技術)部門による「伴走型」のシステム開発を主導したクレディセゾンの小野和俊氏と、データ基盤整備やIT人材育成などDXの長期施策を進めた日本郵船の高橋泰之氏が選ばれた。

 CTOオブ・ザ・イヤー大賞は、創業からAI(人工知能)分野で最先端を行く企業であり、2030年代を見据えたAI基盤モデルや独自半導体の開発に取り組むPreferred Networks(プリファードネットワークス)の岡野原大輔氏が受賞した。特別賞は、食品メーカーでありながら高性能半導体の層間絶縁材で不可欠といわれる先端半導体材料やヘルスケア事業に挑戦し事業の柱に育てた味の素の白神浩氏と、研究開発センターの設立と同時にセンター長に就任しAI活用と半導体の自社設計を進めるダイキン工業の米田裕二氏が選ばれた。

「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2024」大賞を受賞した双日の荒川朋美氏
「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2024」大賞を受賞したPreferred Networksの岡野原大輔氏
「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2024」特別賞を受賞したクレディセゾンの小野和俊氏
「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2024」特別賞を受賞した日本郵船の高橋泰之氏
「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2024」特別賞を受賞した味の素の白神浩氏
「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2024」特別賞を受賞したダイキン工業の米田裕二氏

 「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー」と「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー」は、各領域で目覚ましい活躍をしているCIO(最高情報責任者)/CDO(最高デジタル責任者)とCTO(最高技術責任者)を日経クロステックが表彰する制度として、2023年から開始した。今回は2回目。

 日経クロステックは、CIO/CDOオブ・ザ・イヤー制度により、「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力にけん引し、成果・実績を上げている」と評価できるCIO/CDOとCIO/CDO相当役職者を世に示すことで、日本企業のDX促進に貢献することを目指す。さらに、CTOオブ・ザ・イヤー制度を通じて、「企業のテクノロジー戦略やR&D(研究・開発)を強力にけん引し、成果・実績を上げている」と評価できるCTOとCTO相当役職者を表彰することで、日本企業の技術経営力の向上に寄与したいと考えている。

 審査方法は以下の通り。過去およそ1年間で活躍したCIO/CDO(相当役職者を含む)、CTO(相当役職者を含む)について、日経クロステック編集部がそれぞれ約100人の候補者(非公表)を選定。5つの審査基準に基づき、約10人に絞り込んだ。2024年7月に開催した「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー」と「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー」のそれぞれの選考審査会で、日経クロステック編集部と有識者からなる審査員で3人を選出した。CIO/CDO/CTO経験者や各分野に精通している有識者を審査員として招いて議論し、実力のある人物を厳正に選出した。

 審査基準は、(1)ビジョン・戦略、(2)事業創出、(3)組織風土改革、(4)推進体制・人材育成、(5)キャリア、の5つの観点。

 例えば、CIO/CDOオブ・ザ・イヤーの「ビジョン・戦略」については、「SDGs経営の視点で5~10年先のあるべき姿を描き、その実現に向けたDX戦略を策定し、その実行を強力にリードしている」という観点で審査した。「事業創出」については、「業務の効率化・自動化だけでなく、既存製品・サービスの強化や新製品・サービスの開発、新規事業の創出といったテーマについて具体策を講じている」という内容である。

CIO/CDOオブ・ザ・イヤーの審査基準 ビジョン・戦略 SDGs経営を実現する役目を担うリーダーの1人として、5〜10年先のあるべき姿を描き、その実現に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)ビジョン・戦略を策定し、その実行を強力にリードしている。さらに、DXビジョン・戦略を社内外に適切に情報発信し、DXに関する社内・共創パートナーの理解度向上に努めている。事業創出 IT・デジタル部門が得意とする業務の効率化・自動化だけでなく、既存製品・サービスの強化や新製品・サービスの開発、新規事業の創出といったテーマについて、他の経営幹部と密に連携して、アジャイル手法を取り入れるなど有効な推進体制を整え、具体策を講じている。例えば、最新IT(AIやクラウド、ChatGPTなど)やデータ活用の本質・動向を押さえ、短期・中期・長期の視点で、競争力維持・向上策に取り組んでいる。組織風土改革  経営トップや事業部門リーダーと密に対話することで信頼関係を築き、DXを円滑に推進できるよう、覚悟を持って組織風土改革やレガシーからの脱却に取り組んでいる。例えば、事業部門とIT・デジタル部門が一体となって業務改革やITシステムの構築・整備といったプロジェクトを迅速に推進できる体制を整えている。推進体制・人材育成 5〜10年先の競争力維持・向上を図るため、内部のDX推進体制(IT・デジタル部門のあり方・役割、全社視点でのデジタル人材の育成・配置など)の最適化を図っている。IT・デジタル部門を「DX推進の中核部門」とすべく、組織体制を強化し、多様な人材を育成・採用したりしている。DXプロジェクトをパートナー企業(コンサルティング会社やITベンダー)に丸投げせず、5〜10年先の競争力維持・向上を図るという視点で、パートナー企業との関係性を最適化したり、内製化を推進したりしている。キャリア 様々な経験(挑戦的な変革プロジェクト、異動、転職など)を積むなどして、経営センスや業務・ITスキルを磨き、プロフェッショナルCIO/CDOとして、他社でも変革リーダーとして通用する力量を備えている。「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー」の審査基準概要
(出所:日経クロステック)

 一方、CTOオブ・ザ・イヤーの「推進体制・人材育成」については、「R&D部門のあり方・役割、全社視点でのR&D人材の育成/配置などの最適化、多彩な人材育成・採用をしている」という観点で審査した。「キャリア」については、「様々な経験(挑戦的な技術開発・活用プロジェクト、異動、転職など)を積むなどして、経営センスや技術経営スキルを磨いている」とした。

CTOオブ・ザ・イヤーの審査基準 ビジョン・戦略 SDGs経営を実現する役目を担うリーダーの1人として、5〜10年先のあるべき姿を描き、その実現に向けたテクノロジービジョンやR&D戦略を策定し、その実行を強力にリードしている。さらに、テクノロジービジョンやR&D戦略を社内外に適切に情報発信し、社内・共創パートナーの理解度向上に努めている。事業創出 R&D部門が得意とする技術開発・活用力の強化だけでなく、既存製品・サービスの強化や新製品・サービスの開発、新規事業の創出といったテーマについて、他の経営幹部と密に連携して、技術経営の強化に有効な推進体制を整え、具体策を講じている。組織風土改革 経営トップや事業部門リーダーと密に対話するなどして信頼関係を築き、テクノロジー開発・活用円滑に推進できるよう、覚悟を持って組織風土改革に取り組んでいる。例えば、事業部門とテクノロジー部門が一体となって、事業創出・強化につながるテクノロジー開発・活用プロジェクトを推進している。推進体制・人材育成 テクノロジー開発・活用の実現スピードを高めるため、オープンイノベーション実現に向けたエコシステム(仕組み)の整備・強化を進めている。5〜10年先の競争力維持・向上を図るため、内部のテクノロジー体制(R&D部門のあり方・役割、全社視点でのR&D人材の育成・配置など)の最適化を図っている。テクノロジー部門を「技術経営の中核部門」とすべく、組織体制を強化したり、多様な人材を育成・採用したりしている。キャリア 様々な経験(挑戦的な技術開発・活用プロジェクト、異動、転職など)を積むなどして、経営センスや技術経営スキルを磨き、プロフェッショナルCTOとして、他社でも変革リーダーとして通用する力量を備えている。「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー」の審査基準概要
(出所:日経クロステック)

【受賞者】

「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2024」

大賞 :荒川 朋美氏(双日株式会社 取締役 専務執行役員 CDO 兼 CIO 兼 デジタル推進担当本部長)
特別賞:小野 和俊氏(株式会社クレディセゾン 取締役 兼 専務執行役員 CDO 兼 CTO)
特別賞:高橋 泰之氏(日本郵船株式会社 執行役員 Group CIO 兼 CIO)

「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2024」

大賞 :岡野原 大輔氏(株式会社Preferred Networks 代表取締役 最高研究責任者)
特別賞:白神 浩氏(味の素株式会社 取締役 代表執行役副社長Chief Innovation Officer研究開発統括)
特別賞:米田 裕二氏(ダイキン工業株式会社 常務執行役員 空調商品開発担当 テクノロジー・イノベーションセンター長)

各受賞者の略歴や紹介記事は後日、掲載する。

【審査委員】

CIO/CDOオブ・ザ・イヤー

 審査委員長 小笠原 啓(日経クロステックIT編集長)
 審査委員  岡田 章二氏(ISENSE株式会社代表取締役)
 審査委員  國領 二郎氏(慶應義塾大学総合政策学部教授)
 審査委員  澤谷 由里子氏(名古屋商科大学ビジネススクール教授)
 審査委員  矢島 孝應氏(NPO法人CIO Lounge理事長)

CTOオブ・ザ・イヤー

 審査委員長 小川 計介(日経クロステック先端技術編集長)
 審査委員  江村 克己氏(福島国際研究教育機構理事兼科学技術振興機構AIPネットワークラボ長)
 審査委員  川原 圭博氏(東京大学大学院工学系研究科教授)
 審査委員  酒井 美里氏(スマートワークス株式会社代表取締役)
 審査委員  牧 兼充氏(早稲田大学ビジネススクール准教授)

(五十音順/所属・役職は審査会時点)

【審査委員略歴】

CIO/CDOオブ・ザ・イヤー

岡田 章二(おかだ・しょうじ)氏

ファーストリテイリング元CIO、RIZAPグループ元CIO。1993年まだ黎明期の頃のユニクロ(ファーストリテイリング)に入社。グローバル企業になるまでの24年間にわたり、業務改革とシステム化を推進。日本初SPA(製造小売業)のビジネスモデルのシステムを構築したのち、EC立ち上げやグローバル経営を行うための仕組みを構築。その後、RIZAPグループの役員を経て、2019年情報技術を企業経営に生かすISENSEを起業(現職)。日経BP「ITイノベーターズ」元エグゼクティブメンバー。

國領 二郎(こくりょう・じろう)氏

1982年東京大学経済学部卒、日本電信電話公社(現NTT)入社。1992年ハーバード・ビジネス・スクール経営学博士。1993年慶応義塾大学大学院経営管理研究科助教授。2000年同教授。2003年同大学環境情報学部教授、2006年同大学総合政策学部教授(現在)などを経て、2009年総合政策学部長。2005年から2009年までSFC研究所長も務める。専門は経営情報システム。主な著書「ソシオテクニカル経営 - 人に優しいDXを目指して - 」「サイバー文明論~持ち寄り経済圏のガバナンス~」(日経BP日本経済新聞出版)

澤谷 由里子(さわたに・ゆりこ)氏

東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学専攻修了。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了博士(学術)。日本IBM入社。情報技術の研究開発、IBM東京基礎研究所にてサービス研究に従事。科学技術振興機構サービス科学プログラム(S3FIRE)フェロー、早稲田大学教授を経て、2018年4月より現職。経済産業省産業構造審議会地域経済産業分科会委員、「攻めのIT投資評価指標策定委員会」委員など兼務。

矢島 孝應(やじま・たかお)氏

1979年、松下電器産業(現パナソニック)入社。情報企画部長や三洋電機の執行役員ITシステム本部長などを歴任。アメリカ松下電器5年、松下電器系合弁会社取締役3年、三洋電機株式会社執行役員、関係会社社長3年を経験。2013年1月、ヤンマー入社。2014年4月に執行役員ビジネスシステム部長、2018年6月に取締役に就く。2020年5月退任。日経BP「ITイノベーターズ」アドバイザリーボード元エグゼクティブメンバー。

CTOオブ・ザ・イヤー

江村 克己(えむら・かつみ)氏

1982年、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了、光通信技術の研究者としてNEC入社。2004年、中央研究所研究企画部長。知的資産統括本部長、執行役員兼中央研究所長を経て、2016年に取締役執行役員常務兼CTO。2022年4月~23年3月までNECシニアアドバイザー。1987~1988年、米Bellcore客員研究員。2018年から科学技術振興機構 AIPネットワークラボ ラボ長(現職)。2023年4月から、福島国際研究教育機構理事(現職)。2020年から独立行政法人工業所有権情報・研修館 監事(現職)。

川原 圭博(かわはら・よしひろ)氏

2023年から政府の「AI戦略会議」メンバーを務める(現職)。2000年、東京大学工学部電子情報工学科卒業。2005年に同大学院博士課程を修了。博士(情報理工学)。同大助教、准教授を経て、2019年、東京大学大学院工学系研究科教授(現職)。2011年から2013年まで、ジョージア工科大学客員研究員およびMIT Media Lab客員教員。専門は、IoTおよびデジタルファブリケーション。2022年から一般社団法人ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム理事(現職)。2019年学術振興会賞、2024年文部科学大臣表彰受賞。

酒井 美里(さかい・みさと)氏

1991年、奈良女子大学理学部卒業、セイコーエプソン入社。特許室(現・知的財産本部)にて出願権利化業務に従事。1994年、エプソンインテリジェンスに出向し、特許調査業務や社内研修に従事。2005年、スマートワークス設立。2007年、第1回特許検索競技大会(主催:現IPCC)で優勝。2018年、特許情報普及活動功労者表彰 特許庁長官賞受賞。2018年、奈良先端科学技術大学院大学非常勤講師。著書に「日本でできる韓国特許調査」(情報科学技術協会)、「特許調査入門」(発明推進協会)など。

牧 兼充(まき・かねたか)氏

2000年、慶応義塾大学環境情報学部卒業。同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2015年カリフォルニア大学サンディエゴ校で、博士(経営学)取得、2016年に同校客員助教授。2017年より早稲田大学ビジネススクール准教授(現職)。専門は、技術経営、イノベーション&アントレプレナーシップ、科学技術政策。近著に『「失敗のマネジメント」がイノベーションを生む』(『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2020年3月号)。『イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学』(東洋経済新報社)など。