2022年は多くの電気自動車(EV)が日本市場に登場した節目の年だった。中でも日産自動車の軽EV「サクラ」は、補助金込みではあるものの、ガソリン車とほぼ同等の価格を実現した点で大きな注目を集めた。サクラの開発責任者である坂 幸真氏(同社Nissan 第二製品開発本部 Nissan 第二製品開発部 第二プロジェクト統括グループ セグメントCVE)は、軽EVをキッカケに日本のEV市場が本格的に立ち上がると指摘する。

日産自動車 Nissan 第二製品開発本部 Nissan 第二製品開発部 第二プロジェクト統括グループ セグメントCVEの坂 幸真氏	(写真:日産自動車)
日産自動車 Nissan 第二製品開発本部 Nissan 第二製品開発部 第二プロジェクト統括グループ セグメントCVEの坂 幸真氏 (写真:日産自動車)

 サクラの受注台数は2022年8月末時点で累計2万5000台。主に地方の2台目需要として売れている。サクラは電池容量を20kWhと最小限に抑え、手ごろな価格を実現した。その分、航続距離はWLTCモードで180kmと短い。ただ、2台目として普段の短距離移動に使うなら問題ない。長距離移動の際には1台目のエンジン車などを使えるからだ。

 また、地方ではガソリンスタンドが減少しており、自宅で夜間に充電できるEVは利便性も高い。かつてEVは三重苦(価格が高い、航続距離が短い、充電インフラが少ない)と言われたが、軽EVの登場によって状況が変わりつつある。

 サクラに続き、今後多くの自動車メーカーが軽EVの市場に参入する見通しである。EVの価格競争は一層激しさを増す。同時に部品メーカーの競争も促され、EVの進化が加速することになる。坂氏が語るEV普及のシナリオは、2022年10月11日からオンラインで開催される「日経クロステック EXPO 2022」で明らかになる。

日産自動車に日経Automotive編集長が直撃!
どうなる!? 次世代カー
2022/10/21 (金) 12:20 ~ 12:50

 大転換期のさなかにある自動車の姿はどうなっていくのか。日産自動車の最新軽EV「サクラ」を開発した責任者に、日経Automotive編集長がインタビューで迫る。