高い成果を出せるチームの条件とは何か──。
米Google(グーグル)が2012年から4年かけて社内を調査したところ、最も重要なのはチームの「心理的安全性」であることが判明した。調査から分かったのは、スター社員を集めればドリームチームができるわけではなく、飛び抜けて優秀ではなくてもメンバーが互いを信頼し自由に意見を述べ協力し合えるチームが、コンスタントに高い成果を出せることだった。
この調査結果を米ニューヨーク・タイムズが2016年に報じて以降、チームビルディングにおける心理的安全性への関心が高まっている。帝京大学ラグビー部の岩出雅之前監督は、心理的安全性の重要性にいち早く気づき、ちょうどグーグルが社内調査を始めた時期くらいから、心理的安全性を土台にしたチームの再構築に着手。9連覇を達成するなど同部を「常勝集団」に育て上げた。

大学の体育会は一般に、最上級生の4年生が「王様」として頂点に君臨し、1年生が「奴隷」のように雑用をこなすビラミッド型組織とされる。様々な負荷がかかる下級生には「心理的余裕」が十分になく、ラグビーや勉学に打ち込めない状況だった。
岩出前監督は「脱・体育会」を目標に掲げてチームを改革した。例えば、部内の雑用を下級生から心理的余裕がある上級生に数年がかりで移すことなどで、ピラミッド型組織を逆転させていった。
逆ピラミッド型組織では、下級生に心理的余裕が生まれただけでなく、上級生へのリスペクトが高まった。チームが一体となり、実力を存分に発揮できるようになった。これが、2017年度までのラグビー大学選手権9連覇の原動力になったという。
ところが心理的安全性には、誰もがはまりやすい落とし穴がある。挑戦的な目標やメンバーの高い責任感が伴わなければ、単なる仲良しグループに陥ってしまい、成果を出せなくなる恐れがあることだ。
心理的安全性と「挑戦・責任レベル」は下図のような関係にある。

最も成果を出せるのは右上の「学習」ゾーンだ。ところが、メンバーの挑戦・責任レベルが低いと、心理的安全性が高くても、右下の「快適」ゾーン(仲良しグループ)になってしまう。帝京大学ラグビー部が2018~2020年度にラグビー大学選手権で優勝できなかった原因の一つが、この落とし穴にはまったことだった。
勝てなかった間、岩出前監督は原因を分析してそのことに気づき、チームメンバーの挑戦・責任レベルの向上に取り組んだ。その結果、帝京大学ラグビー部は2021年度に再びラグビー大学選手権で優勝し、王座に返り咲いた。
そんな岩出前監督が2022年10月11日からオンラインで開催される「日経クロステック EXPO 2022」に登壇する。近著『逆境を楽しむ力(https://www.amazon.co.jp/dp/4296000721/』(日経BP)を基に、心理的安全性を土台にした成果を出せるチームの作り方を解説する。

2022/10/17(月)10:00~10:30
弱小だったチームを「常勝集団」に育て、大学ラグビーで前人未踏の9連覇を達成した岩出雅之前監督。そのチームビルディングに根幹にあるのが、心理的安全性です。ただし、心理的安全性の取り組みには落ち入りやすい罠があり、注意が必要です。ラグビーのチームづくりを題材に、心理的安全性の上手な築き方を教えます。
