IBMから独立した世界最大規模のITインフラサービス企業のキンドリルジャパン(以下、キンドリル)がこのたび、ネットワークに強みを持つソフトバンクとの協業を発表した。両社がタッグを組むことで、クラウドや5Gなどの分野で日本のDXを大きく前進させる。キンドリル上坂氏とソフトバンク藤長氏が語り合った。

上坂氏 企業経営にITは不可欠であり、ITインフラは重要な経営基盤です。日本企業の多くは自社独自のITインフラの品質をひたすら追求してきました。その結果、継ぎはぎだらけになり、柔軟性や俊敏性に欠け、身動きできないという課題に直面しています。

藤長氏 ネットワークを含め、ITインフラを個別最適化し過ぎたことも背景にあります。日本の企業の多くは変化に消極的で、新しい技術を取り入れた抜本的な見直しも進まず、DXの遅れの大きな要因となっています。

上坂氏 そういった課題解決を支援すべく、ソフトバンクとの協業に至りました。キンドリルは2021年にIBMからインフラのマネージド・サービス事業を引き継いで分社化・独立しました。世界で約9万人の従業員があらゆる業種のお客様にITサービスを提供しています。

 社名の「キンドリル」は「kyn」+「dryl」から成る造語です。親族関係を表す「kinship」、植物のつるを意味する「tendril」に由来します。お客様、パートナー、従業員と良好な関係を築き、ともに成長していく姿勢を想起させる社名としました。

藤長氏 なるほど、常に伸び続けるイメージですね。

上坂氏 当社は「社会成長の生命線」という企業理念を掲げ、お客様のITインフラを守り運用しています。私たちが描くITインフラの近未来は、まずは産業別に業界スタンダードとなるプラットフォームを作ることです。次に、産業を超えたプラットフォームやサービスへと発展させ、最終的には社会基盤を支えるデジタル基盤を目指します。それらの取り組みを通じて、個別最適化してしまった日本社会の課題を正面から解決していきます。

2社の強みを生かしてソリューション提供

上坂氏 このたび、キンドリルとソフトバンクは戦略的協業を発表しました。ソフトバンクはネットワークやセキュリティー、クラウドなどの領域で、キンドリルはミッション・クリティカルなシステムの領域でソリューションを長年提供しています。両社の強みの融合で、お客様のデジタル変革を支援します。

 キンドリルの強みはIBM時代も含め、長年にわたる豊富な実績を持っていることです。全世界では、4,000社以上のお客様をご支援しており、日本でも日本を代表する企業のシステムも数多く手がけてきました。例えば、ある金融業界のお客様では6,600日以上無停止稼働を続けています。自動化やAIなどによる運用高度化をはじめ、エンド・ツー・エンドでサポートする技術力、組織体制も備えています。

藤長氏 ソフトバンクは通信事業者として、通信ネットワークやセキュリティー、エッジ・デバイスなど、数多くのお客様にサービスを提供してきた強みがあります。売上1,000億円以上の国内企業の約95%が当社の何らかのサービスを利用してくださっています。

 また、セキュリティーの分野では、世界中の優れたベンダーと連携してサービスを提供しており、これらのサービスを当社のSOC(セキュリティ・オペレーション・センター)で一元管理するマネージド・サービスも提供しています。

上坂氏 私から見たソフトバンクの一番の魅力は、マーケットよりも早く動くスピード感、そして先進性・革新性です。そういった強いカルチャーを私たちは今学んでいるところです。

藤長氏 私が思うキンドリルの強みは、最新技術を有効活用しつつ、ミッション・クリティカルなシステムを堅実に構築・運用できるところです。そういった企業文化に学ぶべき点は多いと感じています。

上坂氏 当社とソフトバンクの協業領域は主に、5Gやエッジ、ゼロトラスト・セキュリティーといった最先端テクノロジー、およびハイブリッド・マルチクラウドです。

藤長氏 お客様には両社の強みやカルチャーの相乗効果となるワンストップのソリューションで新しい価値を提供します。両社は顧客接点が多く、選択肢も増え、サポート体制も万全です。

上坂氏 両社ともオープンでマルチベンダーな企業であることも、お客様にとっては魅力ですよね。

金融機関などの顧客に共同で提案

上坂氏 両社の協業はすでに具体的に動き出しています。例えば、金融機関のお客様はテレワークによる従業員の働き方改革、生産性向上が課題です。ソフトバンクはMicrosoft 365(旧Office 365)の導入サポートや、実績あるアセスメント・ツールを持っており、キンドリルがデザイン・シンキングの手法によって、同ツールを生かした最適な導入を提案しています。

藤長氏 今までそれぞれ単体ではできなかった共同提案の事例です。

上坂氏 金融機関の多くが現状、クラウドシフトできていません。今までの延長ではなく、踏み込んだかたちでソフトバンクと一緒に提案していきたいですね。

藤長氏 ほかにも提案中の案件に、製造業のお客様の中期インフラ計画立案・実装があります。老朽化したITインフラをハイブリッド・マルチクラウド基盤に進化させることを目指しています。ソフトバンクのMSP(Managed Service Provider)サービスと、キンドリルのITコンサルテーションから、デザイン、運用までのエンド・ツー・エンドのノウハウを組み合わせて提案しています。

上坂氏 製造業のお客様には、DXまで見据え、ITインフラの観点から整理し、品質とセキュリティー、そして標準性も兼ね備えたあるべき姿を提案しています。

製造業の知見を生かし、工場に5G導入

上坂氏 新しいテクノロジー領域での協業も加速していきたいと考えています。ソフトバンクのセキュリティーをともなった5Gをお客様の工場に導入し、各種センサから取得した膨大なデータを共有・分析活用するスマートファクトリー化を見据えています。工場に限らず、EVを5Gのネットワークで管理するソリューションも必要だと考えています。

藤長氏 当社では、「プライベート5G」のサービスをすでに開発しています。ソフトバンクのネットワークを個別に活用いただける専用の5Gネットワークサービスのことで、スマートファクトリーを実現し、生産性向上や効率化に貢献していきます。この事業を進めるに当たっては、キンドリルの製造業のOT(Operational Technology)の豊富な知見と実績が必要です。

上坂氏 キンドリルのOT/ITとソフトバンクの5Gの両面からの提案で、お客様の要件に応じたスマートファクトリーを実現します。

藤長氏 最寄りの基地局にエッジサーバーを置き、レスポンスを向上するMEC(Mobile Edge Computing)も、5G関連でビジネスチャンスの一つです。まだ構想段階ですが、キンドリルと一緒に提案していきたいですね。

上坂氏 ソフトバンクは2021年6月に「ソフトバンク5Gコンソーシアム」を設立されました。キンドリルも加盟しています。

藤長氏 産業界全体への5G普及加速を目指しています。ベンダーやSIerだけでなく、エンドユーザーに当たる企業も多く加盟しているのが特色です。趣旨は「PoCで終わらない取り組み」であり、具体的な社会実装を目指しています。コンソーシアムメンバーが得意とする領域をポートフォリオ化し、実装の目途を立てます。その上で課題を深掘りしてビジネス共創を推進します。

上坂氏 5Gを含めたネットワークをはじめ、日本の企業が抱えているITインフラの課題は、実は共通しています。キンドリルとソフトバンクで、諸種の課題を解決するITインフラをスタンダードなかたちで提供することで、お客様はより事業に集中できるようになります。そのような取り組みを通じて、日本のDXを支えていきます。

藤長氏 私も同じ思いです。私たち2社でけん引していきましょう。

関連リンク

ソフトバンク株式会社
https://www.softbank.jp/biz/

お問い合わせ

キンドリルジャパン株式会社
https://www.kyndryl.com/jp/ja
https://www.kyndryl.com/jp/ja/about-us/heart-of-progress
お問い合わせはこちら:https://www.kyndryl.com/jp/ja/contact-us

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