さて、「インド洋ベルト」は、非常に多くの国が接している地域です。アジアの国々から、インドネシア、マレーシア、バングラデシュ、インド、パキスタン、イラン、イラク。そして、GCC(湾岸協力会議)の国々では、UAE、サウジアラビア、クウェート、カタール、バーレーン、オマーン。そこからアフリカに移って、エジプト、スーダン、ケニア、タンザニア、マダガスカル、南アフリカなどなど。個性豊かな新興国の顔ぶれが並びます。
インドはイスラム教国家ではありませんが、人口11億人のうち、約11%がイスラム教徒で、1億人以上のイスラム教徒がいます。(インドはインドネシアに次いで世界第2位のイスラム人口を抱える国)
このインド洋ベルトと呼ばれる地域が大きく発展していくために必要な要素は、
○多くの人口を抱え、ベルトのあちこちで活躍するインドの成長
○さまざまな面でベルトのハブとなるGCC(湾岸協力会議)諸国の成長
になります。インドは、教育水準が高くビジネスに貪欲な人たちが業種・職種を問わず、世界のあちこちで活躍をしています。また金融危機下でも、日欧米企業のインド進出は増加、雇用は拡大しており、インド国内の国民所得も他の国と比べて圧倒的な成長をしています。インド人はGCCにもアフリカにもたくさんの人々が進出しています。そしてアフリカ進出にはベルトのハブとなる、GCCの成長が必要不可欠です。
さらにはこのベルトの中で、港湾、空港、金融、その他あらゆる法制度など、現時点ではさまざまなインフラが一番整っている、「ドバイ」の成長が、他の地域の成長に対してキーとなってきます。
インド人がアフリカでビジネスをするために、また逆にアフリカの人がインドでビジネスをするために、全てドバイを経由して、お金を動かし、モノを動かし、人を動かしているからです。湾岸単一通貨も、このインド洋ベルトの経済を見据えた構想です。
しかし先日のニュースで、サウジアラビアほか湾岸諸国との足並みが揃わないという理由で、オマーンに続きUAEが単一通貨から離脱するということが発表されました。湾岸単一通貨は2010年導入を目標に各国が動いていましたが、前途多難です。
GCC(湾岸協力会議)の中では、UAE第2の都市ドバイが一番金融危機の影響を受けています。ここには金融をはじめ、さまざまなインフラが整っているので、欧米の資本も中東・アフリカへのビジネスをするための拠点として、多く進出しているからです。そして、中東・アフリカ・インド地域のハブとなりえるドバイの復活は、「インド洋ベルト成長」のキーポイントとなります。
世界一の政府系ファンド「アブダビ投資庁」を持つ、UAEの首都アブダビも、それを十分理解しているので、もちろんドバイをバックアップしています。大きなインセンティブを用意して世界から企業を呼び、そしてそれらの企業を育てるという「フリーゾーン政策」によって、大きな発展を遂げているドバイがさらに育てば、周辺国へのヒト・モノ・金・情報の流動性は当然増し、GCCの経済は大きな影響力を持つようになるのではないかと思います。その影響力は、まさに「インド洋ベルト」の国々に大きな恩恵をもたらしていくでしょう。
「インド洋ベルト」が大きく発展していくために必要な要素である、「インド」「GCC(湾岸協力会議)」、そしてその発展に大きく貢献するであろう金融の仕組み、それが「イスラム金融」です。
第2回目以降のコラムでは、インド洋ベルト各国の経済や投資環境、そしてイスラム金融について、解説していきたいと思います。


